九州の美味しい食とお酒の情報サイト 「おつまみドットネット」通販でお取り寄せできます

「上等は上客にリーチする」
業界不問の真理から生まれた平戸の新名物

川内かまぼこ
大吉蒲鉾

九州の最北西端に位置する長崎県平戸市。福岡都市圏から車で約2時間という好アクセスながら、四方を山海に囲まれた、風光明媚な上、海・山・野、全方位に自然の恵みが享受できる。

ほとんど自給自足できそうなこの地で、特に名産と言っても、魚・肉・野菜・果実、それらの加工品まで考えると…、いやもう到底絞り込めない種類と質なのだ。そうなるとまずは歴史が古く、地域に深く根付いているという部分で、海産物を知ってもらいたい。

ヒラメ・アラ・アゴ(トビウオ)・イカ、アワビ・サザエ・ウニ・ウチワエビ、鯨…と、ここでまた四季折々の海の幸が列挙されるが、「おつまみ」というフィルタをかけると、出た。“川内かまぼこ”である。

“川内かまぼこ”は平戸市北部の小さな港町で作られ、漁師が江戸時代に余った魚を練り物にしたのが始まりとされる。
(ちなみに川内町は、台湾では孫文・蔣介石とならぶ「三人の国神」の一人として尊敬されている鄭成功生誕の地である)

“川内かまぼこ”の代表格は「すぼかまぼこ」。方言で麦藁のことを“わらすぼ”と言うが、プラスチックのなかった時代は、すり身をこの“わらすぼ”に巻いてかまぼこをつくっていた。今は“わらすぼ”の代わりに巻いたストローを“すぼ”と呼び、蒸す際にスノコの役目も果たし、保存効果も抜群だ。すぼを外すと溝ができる。切ると表情のある断面で、見た目にも楽しく調味料やダシなども絡みやすい。

また、蒲鉾の原料は全国的にスケトウダラが一般的だが、地域によっては高級かまぼこの原材料となるエソや、高級出汁で人気のアゴ、漁獲量全国一位を誇る長崎県ならではのアジなど、漁師が獲った魚を捌くところから始めるのも“川内かまぼこ”の特徴だ。

最盛期には町内に100軒以上あった生産者も、現在では16軒。しかもかつてはどこもそうだったのだが、自ら出漁し獲った魚を使うのはそのうち二軒だけで、今回紹介する『大吉蒲鉾』はそのうちの一軒となる。実は全国的に見ても、漁と加工をどちらも行う蒲鉾店は非常に稀で貴重な存在なのである。


現在、店を切り盛りするのは四代目の角田和輝氏。

八歳の頃、家業の手伝い中に機械に手を巻き込まれ、利き手の指を三本切断。指を失ったトラウマもあり、とにかく蒲鉾店以外で社長になることを夢見た。“青年実業家”を目指し、地元を出たくて、叔父を頼りに久留米へ。

福岡市内の大学を卒業後は東京の商社~アパレル会社に転職。三年ほどモノづくりと販売のノウハウを学んだ後、貯金をはたいて、平戸に戻り自身でアパレル卸の会社を立ち上げる。

当時は社会全体で消費意欲が旺盛な頃。高額な商品でも良質なモノであれば仕入れ次第右から左へと売れていき、約一年後には念願の直営店を佐賀駅前に構えていた。

出店からひと月。人通りに誤算を感じかけたところ、運命の出会いがあった。

ラフォーレ原宿・小倉の館長(当時)が直々に来店し、角田氏の店舗設計・商品の審美眼を評価され、テナント出店をオファーされる。初出店の、いわば素人同然の会社に対するこんなスカウトはこの業界では異例の大抜擢。トントン拍子に話は進み、半年後にはラフォーレ原宿・小倉に二号店がオープン。さらに最大時は九州内外合わせて八店舗を同時経営するまでに。角田氏のセンスが突出していることを証明するに足るエピソードだ。

勢いは十分だったがファストファッションの台頭で消費動向も変化する。

東日本大震災も起こり世相が変化していく中、幼い二人の子どもや妻、体調を崩した母親のことなど「家族の絆」を自身に問い直した時、家業を継ぐ決心をした。

自分が作った店・会社をたたみ、代々の店を継ぐ。自ら獲った魚を加工するのが川内かまぼこの伝統なので、父と一緒に出漁し、蒲鉾製造の技術を一から教わるということ。自分の経営で負った借金も抱えたまま…それでも今しかないと思った。相当な覚悟である。

ただし、いきなり躓く。創業当初から主な取引先は地元の商店。しかも一商店一品目、のような暗黙のルールがあり、ほかの蒲鉾店がすでに取引している商店には入り込む余地はない。焦りはしたものの、服飾の世界で貫いた信念を思い出した。いい商品を作ればかならず価値を評価してくれる人はいる、それはどんな業界でも同じじゃないか。

そこからは、これまでの安くて美味しい商品を作る一方で、全国に向けた贈答用の高級カマボコの開発を始めた。

“川内かまぼこ”では練り物を作るときに砂糖・甘味料を加えることが多いが『大吉蒲鉾』では砂糖は使わない。お酒好きの先代が甘いのを嫌ったこともあるが、なにしろ材料に十分な旨みがあるので、そもそも甘みで補う必要がないことにも気づいた。

一年間の試行錯誤により、先代の継承+現代の感覚をブレンドして「カマンベールチーズ蒲鉾」が誕生。努力は報われ、長崎県水産加工振興祭品評会にて審査委員長特別賞を受賞した。ここで弾みが付いてくる。

次の年には新開発の「金すぼかまぼこ」が長崎市長賞受賞。最高の素材を通常の倍以上の手間暇を掛けて仕上げた自信作だっただけに感慨もひとしおだった。

「金すぼかまぼこ」は長崎市長賞受賞の喜びもさることながら、江戸末期から続く”川内かまぼこ”の歴史上、ひいては県北地区でも初めて「長崎俵物」に認定された驚きと感動たるや…伝統の家業を継いでいく中で最も自分が地元川内町に貢献できたと思える出来事だった。

※元禄時代の長崎港は国内外の物流拠点として栄え、“俵”に詰めて出荷された海産物を“長崎俵物(たわらもの)”と呼んだ。これにちなみ復活されたのが「長崎俵物」。長崎県の全面的な後援により(一社)長崎県水産加工振興協会が認定する。 厳格な品質基準を充たしたもののみが認められる、現代の長崎を代表する逸品。

更に翌年は「あごだし明太子かまぼこ」が全国かまぼこ会長賞を獲得。努力の成果は知名度と共に売上にも次々と反映され、経営の安定が見えてきた。

かといって満足はしない。前職の経験からも、乗るより反るスピードが速いこと、販路拡大は海外視野で進めるべきことを知っていた。国外ニーズに応える商品づくりは常に念頭にあり、国内外いくつもの展示会で分析を重ねていた。そこで見えてきたのは温かい商品への需要。川内かまぼこの歴史上でも例のない、冷凍蒲鉾の開発に乗り出した。

そして2019年。アゴはもちろん、タマネギ、キクラゲまで平戸産にこだわった「平戸あごしゅうまい」の誕生だ。皮は薄く繊細で、蒸すとつるんと綺麗な半透明になる。冷凍のまま蒸し器に入れるので、この薄皮でも破れたりせずしっかり旨みを包んで守ってくれる。餡はアゴの旨味がかなりしっかり感じられ、主役(アゴ)を引き立てる他原料のアシストも秀逸。味と歯ごたえにアクセントがあり、おいしさの中に楽しさまである。完成された味なので、何もつけずにそのまま食べてほしい。おつまみにはもちろんだが、ちょっといいことがあった日や力を出したい日のごちそう弁当にもいい。試作品の時点で市内外関係者からの高評価が相次ぎ、すでに平戸の新名物として定着しつつある。

平戸Uターンのきっかけとなった母はもういない。しかし母の「人と違うものを作りなさい」という言葉が「あごしゅうまい」を生み評価を得た。

今後も足は地元にしっかり根付きながら、視野は広く。 “川内かまぼこ”が世界を往来する日常を作っていくつもりだ。

 

  
▶「川内かまぼこ」の店舗が並ぶ「川内港」。港には中野漁協の直売所もあり、サザエなど新鮮な魚介類も購入できる。
▶三代目までは「角田蒲鉾店」の名で営業していたが、四代目から三代目である父の名前『大吉』を取って「大吉蒲鉾」に改名した。
▶練り上げたアゴ(トビウオ)のすり身。
▶機械により予めスボに巻かれたすり身を検品し、三代目の父と奥さんの三人がかりでスボ巻の仕上げを行う。
▶一つ一つ丁寧に形を蒲鉾型に整え、スボ巻きを仕上げていく。この後、冷蔵庫で1日寝かせ、蒸し作業へと移行する。
▶大吉蒲鉾・四代目の角田和輝氏。

  • 商品名 平戸金の蒲鉾極上の受賞BOXセット
    原材料名 ■金すぼ蒲鉾(えそ)
    魚肉(エソ・スケソウダラ)、米粉、澱粉、卵、食塩/トレハロース、調味料(アミノ酸等)
    ■カマンベールチーズすぼ蒲鉾
    魚肉(エソ・スケソウダラ)、ナチュラルチーズ、カマンベールチーズパウダー、澱粉、卵、食塩/調味料(アミノ酸等)、乳化剤、酢酸Na
    ■あごだし明太子すぼ蒲鉾
    魚肉(エソ・スケソウダラ)、スケソウダラ・ししゃもの卵、澱粉、卵、食塩、唐辛子/調味料(アミノ酸等)、酢酸Na、着色料(赤102、黄5)、発色剤(亜硝酸Na)
    賞味期限 冷蔵で10日間
    内容量 『金すぼ蒲鉾(えそ)』3本×2
    『カマンベールチーズすぼ蒲鉾』2本
    『あごだし明太子すぼ蒲鉾』2本
    価格 3,500円(消費税込)
  • 商品名 平戸あごしゅうまいBOXセット
    原材料名 魚肉(飛魚・スケソウダラ)、玉ねぎ、でん粉、卵、食塩、キクラゲ、ニラ、菜種油、小麦粉(皮)/ トレハロース、カワイワレダイコンエキス
    賞味期限 冷凍で90日間
    内容量 あごしゅうまい8個入×2パック
    価格 3,000円(消費税込)

Pairingペアリング提案

【大吉蒲鉾】 の川内かまぼこと共に味わいたいのは、同じ平戸市の蔵元【福田酒造】の『長崎美人大吟醸』。
地元の契約農家で栽培された山田錦100%を原料に、蔵元の裏にある天然広葉樹の原生林で湧く天然水で仕込む、この土地でしか生まれてこない、手作りで大事に育て上げた大吟醸酒。
華やかな香りと米の旨味が調和した味わいは、刺身などとよく合うため、素材の味を感じるこちらの蒲鉾との相性は抜群。
冷やしていただくのがおすすめです。

◇令和2年度全国新酒鑑評会 最高位 金賞受賞
◇2021年IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SILVER賞 受賞酒

  • 長崎美人大吟醸

    内容量 1800ml、720ml
    原産地 長崎県平戸市
    参考小売価格 1800ml/6,600円(税込)、720ml/3,300円(税込)
    販売/輸入元 福田酒蔵株式会社
    URL https://www.fukuda-shuzo.com/

大吉蒲鉾
【川内かまぼこ】

住所 〒859-5132
長崎県平戸市川内町1001
TEL 0950-24-2406
カート